医学生しいたけによる 病気まるわかり

国立大学医学部の学生が、医学生の生態やわかりやすい病気の解説などをしていきます

SARS(重症急性呼吸器症候群)と新型コロナを比較してみた

こんにちは。しいたけです。

今日もコロナに関連して、感染症についてできるだけわかりやすく解説した後に2002年~2003年に中国で流行したSARSとCOVID-19について、比較していこうと思います。

SARSとコロナ、よく比較されていると思うのですが、なぜ取り上げられているんでしょう。私たちの住む日本で、今までSARSが流行したことはありませんでした。

SARSってなに?

 SARSは severe acute respiratory syndrome (重症急性呼吸器症候群)の略称です。

重症と書いてあるあたり、やばそうな感じですよね。

SARSの原因はSARSコロナウイルス(当時の新型コロナウイルスで、COVID-19と同じコロナウイルスです。

2002年~2003年に中国 広東省で初感染者が確認され、台湾、韓国、ベトナムなど東アジア地域でも感染が確認されました。今は感染は終息しており、過去の感染症として認識されています。

いや終息ってなんやねんと思ったあなた。私もそう思いました。

終息の意味としては感染症の流行が収まり、これ以上拡大する見込みがない状態のことをいうそうです。

WHOが終息宣言などを出す基準の1つとして、原因ウイルスや細菌の最大潜伏期間を過ぎても、新たな感染者が出ないという状態が考えられます。

いいかえると最後の1人の感染者と確認され、その患者さんが無症状で経過している期間に新たな感染者が確認されなくなった時点。とでもいうのでしょうか。

他にも隔離やどういった対策をとってきたか等、考慮する点はあるのでしょうが、少しばかり。

では、そもそもの感染症についてわかりやすく大まかなことをおさえましょう。

#ウイルス感染症 #細菌感染症

 

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マスクで飛沫感染対策

ウイルスとか、細菌ってどこからヒトの体内に感染する?

そもそもウイルスと細菌、何が違う?

ウイルスと細菌を一緒くたにとらえている人も多いと思います。このブログを折角お読みの方には、理解できるように説明していきます。

ウイルスはそもそも、生物ではありません。生物を構成する最小単位は、細胞だと中学生で教わりました。(中学生を家庭教師で教えているので間違いないです!)

細胞の特徴って何ぞというと、細胞膜がある(外界と隔てている)、自己増殖能力がある(細胞が新しく分裂して2個の細胞を作ることができる)、代謝能がある(栄養を自分のエネルギーに変換できる)などですね。

生物の定義って未だ確定的なものはありませんが、3徴として

①細胞でできている②代謝を行う③子孫を残すだと大体の中学生は教わります。

 

ではウイルスにはこの3徴はないんでしょうか。①×②×~△③△ です。

②は、ウイルスは自分の持つ代謝の仕組みが不十分なため、宿主細胞(感染して、やしなってもらう細胞)の代謝経路をすこーし組み換えて自分に必要なものを作らせます。

③は②と同じ理由で、増殖に必要なものを宿主細胞に依存してつくってもらっています。

 

細菌は細胞でできており生物ですが、ウイルスはそもそも生物ではない。これから、違った原理でお薬が効いていくのは、想像できるでしょう。

・・・でもマイコプラズマとか風邪とか食中毒とかいろいろあるけど大体似たような症状出るじゃん?と思った方。鋭いです。それは人間の免疫が関わっているからなんです。それは後述します。

感染経路

外界から体内へ入ってくるのは皆さんどんなことを想像しますか。

まずは体の穴、を考えてみましょう。鼻の孔、口、肛門、目(目は穴とはいわないか…)、ケガ、手術痕(手術後にできたあと)。少なくともこれらから体内に侵入してくるんだろうとくらいは私でも想像できます。

次に、細菌やウイルスは外界は外界でもどこにいるでしょう。

空気中?確かに。カビはそこら中に空気中にいます。もっと掘り下げたら、放置した食品にくっついていたり、ペットの糞便(💩には腸内細菌(大腸菌がついてます))、放置された尿、動物。究極的には、人間の皮膚にも常在菌がいますよね。

 

★国試的には感染経路は微生物が伝播して感染するまでのルート

空気感染:空気に長時間漂う感染。飛沫核感染ともいう。

飛沫感染:細菌やウイルスが鼻水や唾液に包まれてくしゃみや咳で空気中に飛び出し、数秒以内に落下する感染経路。

接触感染:直接的に肌や粘膜が接触して感染すること。

新型コロナは飛沫、接触による感染であるといわれていますよね。

媒介動物感染:病原体が動物に付着していて、そこから感染する経路。

経口感染:細菌やウイルスがついた食べものや飲み物をとることで感染する。食中毒といわれるもののルート。

その他にも血液や体液を介する感染(ケガや性行為)、垂直感染(胎盤を通してお母さんから赤ちゃんに感染する経路)があります。

ウイルスと戦う、自分を守る軍隊・免疫部隊

さきほど、似たような症状がでるから違いも何も、と思われた方。それは病原体から体を守る仕組みが働きだしたからなんです。それを免疫機能といいます。

もっと詳しく説明せいやって思った方、コメントください。

似た症状というのは例えば風邪だったら発熱、のどが腫れる(腫脹)、のどの痛み、関節の痛み(疼痛)、赤くなる(発赤)など。これらはみんな、病原体が何であっても外敵が来た!やっつけよう!と炎症を起こしている状態なのです。

発熱したらなんでやっつけられるの?とかはまた別の記事で説明しますね。

*「働く細胞」という漫画がありますが、よくつくられていますので、読んでみてください。

 

病院にいってされる治療はいったいなに?

基本的には抗生物質は”生”=生物 にあらがう物質なので、ウイルスには効きません。(なんども言うように、ウイルスは生物ではありません!)

なので、症状が出ていたらそれを落ち着かせる薬を飲んでもらうか、塗ってもらうかします。これを、対症療法といいます。発熱に対しては解熱剤、痛みには痛み止めといった処方がされることが多いでしょう。

いやじゃあ前の記事に抗生物質で治療しているの大半っていてたや~ん矛盾しとるやんと思った方。それは二次感染の予防目的なんだと思います。

二次感染:もともとは違うウイルスに感染していたけど、治らないうちに他の病原菌に感染すること。

普通、予防的な抗生物質投与は行いません。(例外はニューモシスチス肺炎。)

耐性菌ができてしまうからです(これも今度記事にします。)しかし新型コロナは新型ですので、どんな合併症がどういった経路でなど解明されていないので、抗生物質治療もしているんじゃないかな、と自分は推察しています。

 

症状が強いときや、急な時には抗ウイルス薬も使用します。

インフルエンザ薬のタミフルなど、有名ですよね。感染後の症状をすぐに消えるようにする薬です。

ただ、副作用も大きいので病院や医院での説明をきちんと受けましょう。

SARS と新型コロナ(SARS-CoV-2)の比較まとめ

  SARS SARS-CoV-2
感染経路         飛沫感染
糞口感染   接触感染  
主な症状          発熱
       咳、呼吸困難
リスク 50歳以上   高血圧(?)
基礎疾患のある人 基礎疾患のある人
潜伏期間(平均) 5日 4日(2~7と幅広い)

 

とりあえず発表されているものをまとめました。

★国試対策に…「感染症法に基づく類型分類と入院」

1類感染症 ゴロ:南米で一番偉いペットはクマだ

 南米出血熱

エボラ出血熱

ライ熱

ペスト

マールブルグ病

 原則入院。入院勧告、強制入院も可能。 

2類感染症 ゴロ:二次の結果開示でサマーズ取りに行く。

ジフテリア

急性灰白質炎(ポリオ)

結核

SARS

MERS

鳥インフルエンザ

状況に応じて入院。入院勧告もできる。

3類感染症 サルモネラとか食中毒以外でやばそうなやつ。

腸管出血性大腸菌感染症

チフス

パラチフス

細菌性赤痢

コレラ

 最後までよんでいただき、ありがとうございました。

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